ベテラン塾講師は子どもの学ぶ力を伸ばす職人です。経験豊富な先生を選ぼう。
春になると、暖かくなって、新しい年度も始まって…「よっしゃ何かしよう!」と心新たに塾に通い始めるお子さんも多くいます。そう思うのは塾の先生も例外ではありません。先生も新しいことを取り入れたくなる季節です。
コロナ禍以前は、よく塾の先生と集まって勉強会をしていました。
私のように個人の塾の先生が集まりです。
開校数ヶ月の先生もいれば、数年たっている先生もいて、それぞれのお悩み解決をするために集まっていました。そこで、私がいつも話すのは、「塾の先生ってさ、職人だと思うんだよね…」ということ。では、どんな先生が子どもの学ぶ力を伸ばす職人先生なのでしょう。
教材の長所短所やレベルを把握している
松島修楽館では必要に応じてICT教材を使っています。
機械的と思われてしまいますがそれは、違います。
なぜなら子供たち、1人、1人が間違う場所、理解が足りない場所はことなり、必要な指導やアドバイスが違うからです。
同じ問題でも、同じ×がついた問題でも、ノートを見ると間違っている段階や場所が違います。
ここをどう、拾って、潰していくかが腕の見せ所なです。PCの画面上では「×」とついているだけなので、子供たちはクイズが「当たった」「外れた」くらいしか見えていません。子供なので、それは良いとして(本当は自分で分析できるようにさせるのが最終目標です。)
数学であれば途中式を書いたノートを見せてもらい、計算過程を見て、その子の弱点を伝え、弱点を強化できる問題を様々なテキストからチョイスします。
この気づきや問題の選定が、「塾の先生は職人である。」っと私が思うところです。
その子と関わった感触やクセ、性格をひっくるめて「今は、この問題がこの子の学力向上のためには必要!」っと適切な演習問題を差し出します。毎日の何気ない一コマですが、これをするには豊富な経験と使用教材に関する深い知識が必要です。
オーマイティーな教材は存在しないと思っています。どんな教材にも長所と短所があります。なので、その教材がどこが優れているのか、どこが足りないのか把握しておく必要があります。そして、どの教材にどんな問題があるのか、このつまずきを改善するための問題はあのテキストのあそこにあったはずと、塾にある教材の内容を把握しておく必要があります。
余談ですが、ご家庭で参考書を買う時は「参考書には長所と短所がある」ということを念頭に置いて選ぶと良いと思います。他の部分がイマイチでも、お子さんがわからない部分がズバリ解決できれば、その参考書は、子さんにとって良い参考書です。オールマイティーな参考書は存在しないので、お子さんが使いやすい参考書を選ぶと失敗しません。時々、「親が勝手に参考書を買ってきた。」という話を聞きますが、それはもったいない参考書の買い方です。お子さんが「わかるようになるための参考書」は本人にしか選べません。
スモールステップで成功体験を増やし、学習時間を伸ばす
子どもの学力を伸ばすには、段階に応じた学習内容が必要です。
勉強が分からない子に「勉強には量が必要だ!」と言って、大量に問題を渡しても、単なる苦行でしかありません。まずは、少しずつ、スモールステップで問題を渡していきます。
プリントが1枚できたら丸付けをして、できた過程を共有します。そして、できたところをしっかり褒めてあげます。できなかったところは1つ1つ丁寧に「どうしてできなかったのか。どこまで本当はできていたのか」を確認しながら解説をします。
そして、同じようなレベルでもう一度自分で解いてみます。解説を入れたばかりなので解ける問題も増えます。できる問題が増えれば自信もつきます。本当はまだ、ここでは本当の「力」としては付いていませんが、「問題が解ける!」という感覚を覚えてもらえます。
こうして小さな成功体験を積みながら、問題のレベルも少しずつ上げています。これを繰り返しながら子どもたちは学力を伸ばしていきます。解ける問題から始めるので、「わかんない~」と言って、ボーッとする暇はありません。みんな一生懸命に問題に取り組むので、塾での学習時間は「あっという間」に過ぎるようです。レベルに合った問題を選んで、適切な量を渡していくことで学習時間も伸びていきます。その結果、学力も伸びます。
数字では見えない学力の伸びがわかる
この「私は職人だわ!」という気持ちは受験期に強く感じます。
子どもたちの「数字として表れない学力の伸び」は本人や私にしか分からない部分で、かなりアナログです。
数字だけで切り捨ててしまう人には見えない「伸び」を体感で感じられるから、私は職人なのです。
一般的に、高校受験に向けての模試は2月の初旬で終わります。そこから1ヶ月、受験生は必死で勉強をします。
そして学力というのはダイエットと同じです。ある日突然スルスルと痩せる時があるように、今まで蓄積してきた知識がむずびついていきなり勉強がわかるようになる時が来ます。それが早い子もいますが、松島修楽館では入試ギリギリで伸びる子が大半です。
今まで勉強をしたことがない子どもたちが多いので、抜けてる知識が多い子がほとんどです。この子たちの知識が身につくには時間がかかります。時間がかかっても確実に力はついていきます。
時間がかかるので諦めてしまう親御さんも多いのですが、子どもたちは一生懸命頑張っています。ぜひ、その頑張りを応援してあげてください。
パン職人は手の感覚でパンのネタを均等に量れます。それと同じで、子どもたちの微妙な学力の変化にも私にはわかります。そこをしっかり認めてあげて、褒めてあげる。今までできなかったことができるようになっていることを、本人にわからせることが学力を伸ばす秘訣です。勉強真っただ中の子どもたちは、自分ができていることに気が付かない時があります。そんな時に、「ちゃんとできているよ!」と教えてあげると、子どもたちのモチベーションは上がり、積極的に勉強に向かいます。
もちろん数字で判断することも必要な時もあります。でも、私は職人なのでそれだけでは終わらせません。目に見えない伸びまで見て子どもたちに伝えます。
学力向上に必要な声かけは家庭でもできます
子どもの学力を向上させるために、本当に必要なことは「家庭での前向きな声かけ」です。いくら受験戦略を立てても、いくら塾で頑張っていても、家庭でネガティブな言葉をかけられていたら、どうでしょう?やる気が失われてしまうと思いませんか?せっかく頑張っているのに…今日も遅くまで勉強したのに…誰も褒めてくれないと、子どもたちのモチベーションは下がってしまいます。
子どもたちはお母さんから認められたい、褒めてもらいたいと思っています。思春期真っただ中の扱いにくい男の子であってもです。お母さんの褒める言葉はどんな受験戦略よりも効き目があります。お子さんの「できたところ」にフォーカスして声掛けをしましょう。きっと、少しずつ勉強に前向きな気持ちになっていってくれます。